住宅をせっかく手に入れても、支払いが不能になれば、家をとられてしまいます。
ですが、『住宅ローン特則』が認められれば、住宅ローン以外の借金を大幅に圧縮・減額して住宅ローンの返済を継続することで、自宅を維持することができる個人再生の制度を利用可能です。
つまり「住宅ローン以外の他の借金が減額されることで、住宅ローンだけなら十分支払いが可能である」という条件でのみ活用ができる制度になります。
自宅を維持したまま任意整理をするには、下記の通り2つの方法があります。
- 住宅ローンを除外した任意整理を行う方法
- 住宅ローン特則を利用した個人再生を行う方法
後者の住宅ローン特則を利用した個人再生を行う方法を行うと、自宅を残したまま他のカードローンなどの債務を圧縮することができるため、支払いが楽になるのでオススメです。
住宅ローン特則の条件
住宅ローン特約を適用するためには、下記の条件を全て満たす必要があります。
- 住宅を建てるための資金として借り入れたものであること
- 土地や住宅に住宅ローン債権を被担保債権とする抵当権が設定されていないこと
- 土地や住宅に不動産担保ローンなどの抵当権が設定されていないこと
- 債権者本人が居住していること
- 店舗用住居や二世帯住居であっても、債権者本人の居住スペースが床面積の2分の1以上だること
セカンドハウスや別荘などには適用されませんので注意が必要です。また、単身赴任などで暫く別の住居になっていても、任期終了後には戻って居住する予定であれば、住宅ローン特則が認められます。
住宅ローン特則の利用によって、住宅ローンの返済方法や返済期間そのものを見直すことも可能になるケースがあります。例えば…
- 住宅ローンの債権者の同意があれば、返済方法を再調整できます
- 保証会社から一括払いを求められても、分割払いが可能になります
- ローンの返済期間を最大10年まで延長する代わりに、毎月の支払金額を減額し負担を軽くすることができます
- 個人再生の債務返済期間中、元本の支払いを待って貰うことができます
ただし支払い期間を延ばすことができるのは10年以内で、70歳までに支払いを終えなければいけませんので裁判所から決められた返済計画を守ればきちんとした債務整理ができ問題解決となります。
住宅ローン特則を適用するためには
住宅ローン特約を適用するためには、住宅ローンの残債務の確認と現在の住宅の価値を調べる必要があります。評価査定は複数の不動産に簡易査定を受け平均値を調べると良いようです。
住宅ローンの評価額が残債務の金額より上回る場合は「資産」とみなされ、個人再生の恩恵が薄くなってしまうので注意が必要です。
ケース1
家の評価額3000万円、住宅ローン残高1500万円、その他の借金1000万円の場合
3000万円-(1500万円+1000万円)=500万円債務残高より資産の方が多くなるため、個人再生が適用されません。
ケース2
家の評価額3000万円、住宅ローン残高2500万円、その他の借金1000万円の場合
3000万円-(2500万円+1000万円)=▲500万円資産より債務残高が多くなるため、500万円までの個人再生が可能になります。
ケース3
家の評価額500万円、住宅ローンなし、その他の借金1000万円の場合
500万円-1000万円=▲500万円資産より債務残高が多くなるため、500万円までの個人再生が可能になります。
一般的に債務残高よりも資産が高いと、「資産価値あるなら自宅を売って払いなさい」という算定になり個人再生が適用されません。
住宅ローン特則が適用されなかった場合
条件を満たせず住宅ローン特則をつかった個人再生が適用できなかった場合は、借金の返済方法を借入先と交渉する任意整理の方法があります。
利息の見直しや、返済期間を延長して貰うことができれば、毎月の返済金額が軽くなり資金繰りが楽になります。
いずれにしても、民事再生を専門に扱う専門家に相談しつつ、日々の生活を無理せず確実に完済を目指す方法で、生活を立て直していきましょう。